ハロウィンが終わって、だんだんクリスマスの足音が近づいてきます。
日本では、やっぱりクリスマスイブが主役。
ケーキの予約、チキンの予約、
子どものプレゼントは何にしよう?
あっちもこっちもキラキラしていて、
気がつけば、もう本当に忙しい。
そして、クリスマスの朝。
枕元に子どものニコニコ顔を見つけたら大成功!
ほっとする間もなく、街にはお正月の飾りが並びはじめて
景色はあっという間に
切り替わっていきます。
日本のクリスマスは、どうしても
“ワンナイトイベント”。
ひと晩だけ、ぱっと明るく灯って、
すぐに次の季節の準備がはじまります。
でも、ヨーロッパでは、少し雰囲気がちがいます。
夜の空気がすっと冷えて、
星が高いところで静かに光って、
家々の窓からこぼれる灯りが、
冬の長い夜をゆっくり照らしていく。
そんな空気の中で、
人々はお菓子を焼きはじめます。

ドイツでは、12月になるとシュトレンがパン屋やスーパーに並びはじめます。
ブランデーやラムに漬けたドライフルーツとナッツがたっぷり入った発酵菓子で、
粉砂糖をまとった姿は、おくるみに包まれた幼子イエスをあらわしています。
焼きたてをすぐ食べるものではなく、少し置いて風味が落ち着いてきた頃から薄く切って、
コーヒーや紅茶と一緒に少しずつ。
食べながら「もうすぐだね」とクリスマスまでの日を数えるような、そんなお菓子です。
アルザスでは、アドベントの頃になるとベラーベッカが店先に並びはじめます。
洋梨を中心に、イチジクやレーズン、柑橘ピールをキルシュや洋梨の蒸留酒、
スパイスに浸しておいたものを生地にまとめて焼き上げた、冬の保存菓子です。
素朴で、派手さはないけれど、冬の空気にしっくり馴染むお菓子です。
イタリアでは、クリスマスが近づくと大きな箱に入ったパネトーネがあちこちで売られます。
発酵生地にレーズンやオレンジピールを混ぜた、ふんわり甘いドーム型のパン菓子。
贈り合うことも多く、もらったものを朝食やお茶の時間に一切れずつ切って味わう家庭が多いようです。
イギリスのクリスマスプディングは、ドライフルーツ、スパイス、ブランデー等を混ぜて蒸した濃厚な冬の伝統菓子です。
すぐには食べず、一ヶ月ほど置いて風味を落ち着かせておき、クリスマスに温め直していただきます。
ブランデーをかけて火を灯す“フランベ”は、昔からよく知られた食べ方のひとつ。
青い炎がふわっと立ちのぼる瞬間、冬の食卓が少し特別なものになります。
どの国でも、冬のお菓子は「焼いて終わり」ではなく、そのあとをゆっくり楽しむためのものみたいです。
寒い季節の暗い時間を、少しずつ明るくしていくような存在。
甘い香りが、冬のあいだの小さなあたたかさになるのでしょうね。
日本の冬も、忙しさの中にちょっとだけ“待つ気分”があればいいなと思います。
当店でも、クリスマスのものをそっとオンラインにご用意しました。
そのことについては、次の回で少し書いてみようと思います。
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